バリア(障壁)をフリーにする、つまり家の中の段差などを極力排除して、お年寄りや車イスの方にも生活しやすい住環境を整備すること。この考え方は、今や、建築の世界では“当たり前”になりつつあります。
それはもちろん、やさしい住環境への大きな前進です。ただし、当たり前になってしまったがゆえに「バリアフリー」という言葉がひとり歩きして、規格化された形にはめこまれてしまっているケースも少なくありません。
単に段差をなくし、あちこちに手すりをつければ「バリアフリー住宅」なのでしょうか?バリアフリーの本来の意味を考えれば、真のバリアフリー住宅づくりには、最近広まりつつある「ユニバーサルデザイン(直訳すれば万能デザイン)」の考え方〜すべての人にとって使いやすい道具や環境を実現する〜に通じる配慮が求められるはず。
ちょっと前置きが長くなってしまいましたが、バリアフリーは特別なことではありません。要するに大切なことは・・・
「30年後あなたはどんな生活をしていますか?」
たったひとつだけ確実なことは、今より30歳年齢を重ねているということ。
30年後の日本、それは超高齢化社会であることが予想されます。
それにともない、年を取って体の機能が衰え、なんらかの手助けを必要とする「要介護者」の数も2倍以上になるといわれています。
その要介護者たちの全てが施設や病院などで生活するわけではありません。
自宅で家族の手を借りながら生活する介護者が多くなるでしょうし、また住み慣れた我が家で暮らすほうが、その人のためにいい場合が多いでしょう。
体の機能が衰えた人でも生活しやすい家。
それはもちろん誰にとっても暮らしやすい“やさしい家”です。
家族みんなが健康なときはもちろん、その中の誰かに手助けが必要になったとき、本人と同時に手助けする家族の健康と安全を守る家でもありますから、要介護者を増やさないということにもつながります
そのとき、家族の生活に変化があったとしても、家族を包み込む住み心地よさ、我が家への満足感が変わらず続いているためには、家を建てようとする今からの準備が必要なのです。
家族を守ってくれるはずの家。けれど、その家の中で起こる“家庭内事故”は意外と多いもの。特に子供やお年寄りにとっては、ほんの少しの配慮の欠如も事故に直結します。
そして加齢などによって体の機能に障害が起きた場合・・・例えば歩行障害で杖や車イスが必要になったときも、家がそれに対応できれば
−−−具体的には廊下に手すりをつける、玄関にスロープをつけるなど−−−
それは生活障害とはなりません。
そのために、まずは計画的に寝室とトイレの位置関係の考慮や、段差を極力なくすなど安全でやさしい設計をする。
そして生活の変化にともない、必要に応じて後から手すりを加えたり、スロープを加えたりというリフォームがしやすいよう、しっかりした下地処理を行い、臨機応変に対応できる余裕をもたせておくこと。
この2段階を考えて家づくりを進めることが必要となります。
家族みんなの自立と健康のために家の果たす役割はとても大きなものです

